CINEMA草紙

ブラジル、アルゼンチン、メキシコ、キューバ等々、中南米カリブのラテン映画・音楽・カルチャーを紹介するニッチなブログです!

不穏な大人社会を純粋な少年の視点で描いたアルゼンチン映画『瞳は静かに』は、少年の愛くるしさに相反する、大人たちの怯えた表情が印象に残る作品でした。  

☆1977年、多感な少年アンドレスは、母の突然の死によって父方の祖母オルガのもとへ預けられる。
しっかりものの祖母やエキセントリックな父親の不穏な動きを敏感に察知したアンドレスは、大人たちに反抗的な態度をとるようになる。

ちょっとしたことでも反社会的とみなされ、拷問や拉致監禁が公然と行われていた70年代のアルゼンチン社会を、純粋な子供の視点から見つめた作品である。
ジュリー・ガブラス監督(コスタ監督の娘)の『ぜんぶ、フィデルのせい?』にテイストは似ているが、こちらは大人たちがもっと辛辣である。
父は、母の死を悼むよりも先に、遺品をすべて燃やしてしまうし、一見、世話好き風の祖母は、道を掃除しながらアンドレスや町の人々を監視し、ときには密告めいたこともしている。
それもこれも、自由が許されない社会のせいではあるのだが、悲しみを背負い無償の愛を欲しているアンドレスにとっては、彼らの行動が、非情に思えてしまうのも無理はない。

誰でもいいからアンドレスを、ただ抱きしめてあげるだけで、彼の心はもう少し落ち着くんだけどなあ…。
でも、生き延びるために必死の大人にはそんな余裕はないのだろうし…。
(唯一、アンドレスの大伯父だけは、中立的なこと言っていたのだが、今一つインパクトに欠けていました。)

社会の裏側で何が行われているか、詳細に描かれていないので、少々わかりにくい作品ではあるのだが、あくまでアンドレスの視点で描いている、と思えば納得できる。

アンドレスを演じた少年は、『マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ』を彷彿とさせる愛らしさで、見ているだけで癒された。
それだけに、彼が周りの大人たちの行動に少なからず影響されていく様が痛々しく、やりきれなさを覚えた。

『みつばちのささやき』『蝶の舌』『マチュカ』など、ラテンは子供視点で描いた名画揃い。
日本では、まなチャン・ふくクンがブームだが、かわいいだけではない奥の深ーい作品をぜひ日本映画でも見てみたいものです。

瞳は静かに Andres no quiere dormir la siesta
ダニエル・ブスタマンテ監督、ノルマ・アレアンドロ、コンラッド・バレンスエラ出演

スポンサーサイト

Posted on 2012/01/15 Sun. 00:00 [edit]

category: ラテン映画

thread: ★おすすめ映画★ - janre: 映画

tb: 0   cm: 0

コメント

コメントの投稿

Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://bossacine.blog59.fc2.com/tb.php/661-76e0888a
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

最新記事

TWITTER

最新コメント

最新トラックバック

検索フォーム

アーカイブ

カテゴリ

リンク

RSSリンクの表示


▲Page top