CINEMA草紙

ブラジル、アルゼンチン、メキシコ、キューバ等々、中南米カリブのラテン映画・音楽・カルチャーを紹介するニッチなブログです!

ラテンビート映画祭『雨さえも~ボリビアの熱い一日~ TAMBIEN LA LLUVIA』レビュー  

☆舞台は2000年のボリビア。映画監督のセバスティアンとプロデューサーのコスタは、新大陸の発見者クリストバル・コロンを描く映画撮影のため、スタッフとともにボリビアのコチャバンバを訪れる。
折しも現地では、欧米企業による横暴な水道事業の独占によって、多くの住民が水道料金の大幅値上げに苦しめられていた。
大勢のエキストラ応募者の中から、スタッフの目にとまった先住民族のダニエルは、映画の撮影の合間に抗議運動に参加。映画の資金源である投資家の目を気にするコスタは、彼の行動に難色を示し、映画に専念するよう諭す。

☆☆映画の経費節約のためにボリビアをロケ地に選んだ、いい御身分のスペイン人と、水を求めて死に物狂いで抗議するボリビアの民衆。
両方の立場を対比させると同時に、新大陸を発見したスペイン人と先住民族の関係を描いた映画を劇中で見せることで、征服するものと、されるものの立場があぶりだされる…。
見れば見るほど、よくできた脚本である。
劇中劇では、征服者と先住民、先住民を守ろうとする聖職者。
現代では、経費を気にするプロデューサー、映画のことしか頭にない熱血監督、しぶしぶボリビアにやってきた役者陣。そして、水を奪われた原住民とその子供たち…。
さまざまな立場の人間が登場し、劇中劇も入ってくるので、複雑な構成ではあるのだが、一人ひとりの心理描写が丁寧で、それぞれに感情移入ができる。

蛇口をひねれば飲み水が手に入る、恵まれた先進国の人間にとって、“不当に高い水道料金”、というのは現実味がないのだが、大震災後、水、電気、そしてガソリンが手に入らない恐怖を味わった私たち日本人は、「水は死活問題だ!」と、訴えるダニエルの言葉に、以前よりも大きな共感を覚えたのではないだろうか。

震災直後の数日間、水を求めて歩き回ったことや、水を分けてもらうために何時間も待たされたことなど、半年前のリアルな体験を思い出すと、今でも鳥肌が立つ。
その後で飲んだ水が、なんとおいしく、またありがたく感じられたことか…。

みんなが熱くなっている中、一人だけ達観していた酔っ払いのベテラン俳優が、捕まった民衆にビールを分けてやるシーンは涙…でした。(彼のゴヤ賞助演男優賞も納得!)

この映画は、社会問題を扱った硬派な作品ではあるのだが、映画への愛や、男の友情、親子愛なども描かれていて、女性監督らしい細やかさも感じられる。
脚本のポール・ラバーティはボジャイン監督の夫、ということ。
夫婦二人三脚で作った傑作を、埋もれさせたくないものです。ぜひぜひ日本公開をお願いいたします!

雨さえも~ボリビアの熱い一日~ TAMBIEN LA LLUVIA
監督:イシアル・ボジャイン、出演:ルイス・トサル、ガエル・ガルシア・ベルナル、エンマ・スアレス
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Posted on 2011/09/25 Sun. 17:09 [edit]

category: 映画レビュー

thread: 映画祭 - janre: 映画

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コメント

こんばんわ

この映画はラテンビートの中で一番真面目なテーマを扱ってますが、見た甲斐がありました!ほんとうに、プロットが巧みに練られてますね

震災といえば、原発事故後、放射能汚染で水が飲めなくなった地域がでてしまった。。。外資に搾取されているわけでもなく、自らの首を絞めている、何とも哀れな様です。。。

URL |  #OARS9n6I
2011/09/25 23:11 | edit

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