CINEMA草紙

ブラジル、アルゼンチン、メキシコ、キューバ等々、中南米カリブのラテン映画・音楽・カルチャーを紹介するニッチなブログです!

ローシャ作品らしからぬ?!「バラベント」を堪能してきました!  

☆舞台は60年代のバイーア。
カンドンブレや海の神を崇拝する村人たちの多くは、道具も船も持たない貧しい漁民たちだ。
ある日、都会から舞い戻ってきた若い男フィルミノは、彼らの信じるものをすべて否定し、若いリーダー、アルアンに敵意を抱く。

ココナッツの生い茂るのどかなバイーアの海岸を舞台に、土着的な宗教観に囚われて暮らす人々と、現代社会に毒された若者の確執をストレートに描いている。
ローシャ作品は、強烈に個性的な映画を先に見ていたため、予想外にシンプルで分かりやすい展開にほっとして、終始、和やかな気持ちで映画を楽しむことができた。

何の手もつけられていないバイーアの海岸は、今でも映画と同じような姿で残っていたよなあ。
あの場所にいつかまた戻りたい…。
そんな郷愁を抱いたり、ファビアナのCDで何度も聞いた「Saudac,ao para lemanja」のメロディに心を癒されたり…。
ローシャ映画を見てこんな穏やかな気持ちになるなんて、驚きである。
モノクロではあるのだが、バイーアの青い海と空の美しさは、画面から染み出ていたし、褐色の若者たちのキリリとした表情や肌のピチピチ感も生々しく伝わってきた。
古さを感じさせない映像美は、やはりスクリーンでなければ堪能できない、と実感。
物語は、因習や宗教に拘る人々と、そこに一石を投じる若者の関係を描いているのだが、とくに突飛な展開はないため、どちらにも感情移入しやすい。
新しモノ好きで嫉妬深い若者が、一人悪者のようにもとれるが、彼は、現代社会で生きる多くの人間の姿を投影している。実際、古いものは、どんどん踏みにじられ、人々は無意識のうちに文明に毒されてしまっているのだ。
ローシャ監督作品は、表現方法を変えてはいるが、古くから伝わる伝統や因習と、それを脅かす新しい価値観の確執を描く、というテーマは一環している。
ブレのない強烈な主張が、ローシャ監督の魅力でもあるのだろう。

もしまだ生きていたら、どんな監督になっていたのか…。
社会から変人扱いされ落ちぶれていたのか、現代社会にとりこまれ、上手に泳いでいたのか…。
たられば、ではあるが、前者だった、と思いたい。

ローシャ映画の入門として「バラベント」は最適で、一般受けする映画(この映画はサンパウロのDVDショップでよくみかけました)。
美しい映像とビリンバウの音色を聞くだけでも、十分見る価値あり!のブラジルらしい映画です!

バラベント BARRAVENTO (62年)
グラウベル・ローシャ監督、アントニオ・ピタンハ、ルイザ・マラニョンナイーナ出演
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Posted on 2011/07/04 Mon. 21:46 [edit]

category: ブラジル映画

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