CINEMA草紙

ブラジル、アルゼンチン、メキシコ、キューバ等々、中南米カリブのラテン映画・音楽・カルチャーを紹介するニッチなブログです!

「ペルシャ猫を誰も知らない」レビューをUPしました!  

☆☆昨年の東京フィルメックスで見逃して以来、気になっていたゴバディ監督の新作。気持ちが沈みそうな辛~い映画か、と思ったら意外や意外。自由を渇望する若者たちの姿を生き生きと描いた青春賛歌でした!

☆テヘランで暮らす若いミュージシャンのカップル、ネガルとアシュカンは、演奏活動ができないテヘランを離れ、ロンドンへ脱出する決意をする。二人から偽造パスポートの手配を頼まれた便利屋ナデルは闇業者を紹介。パスポートを待つ間、彼らにアルバム製作を持ちかける。
テヘランのインテリ層の若者たちは、英語が話せ、ファッションもお洒落。車も持っていて素敵な家に住んでいる。一見、何の不自由もなく、うらやましいぐらい豊かな生活を送っている。それなのに、好きな音楽を聞いたり演奏したりすることができない、という現実は、正直予想外だった。彼らが貧困層だったら、まだ話はわかるのだが…。
それが社会の違いであり、そこで暮らすなら社会のルールは守らなければならない。というのは頭で理解できても、表現の自由のない暮らしというのは何とも窮屈そうである。
女は人前で歌ったらダメ、音楽の演奏やCD発売は検閲がある、飼い犬は外に連れ出したらダメ、等々。
日本人からみたら何とも奇妙なルールではあるのだが、まあ、音楽やらなくても生きてはいけるし、犬は家の中で飼えばいいし…。
ゴバディ監督の前作「亀も空を飛ぶ」が、あまりにも過酷な虐げられた子供たちの話だったので、このギャップには正直驚いた。
この映画はノリがポップで音楽も楽しく、監視の目をくぐってあの手この手で自分たちの夢を実現しようとする若者のバイタリティがヒシヒシと伝わってきて、ぐっとひきこまれた。彼らの奏でる音楽も、閉そく感を打破しようとする力がみなぎっていて、「ロックの原点ここにあり!」って感じ。
何でも手に入り、何をやっても許される日本のような自由な社会で暮らす若者が奏でる音楽とはまったく違った、外向きのパワーに圧倒され、スクリーンに向かってエールを送りたくなった。
クルド人監督のゴバディは、この映画をテヘランでゲリラ撮影し、今は海外に脱出。出演者もロンドンで活動中とのこと。フィクションではあるのだが、そこにはリアルな現実が投影されていた。
便利屋ナデルの軽快なフットワーク、ウィットにとんだ台詞は圧巻。
観客の思いを逆なでするような厳しいエンディングも、なんともゴバディ監督らしい。
鋭い反骨精神を持ちながらも決して堅苦しくないゴバディ映画は、クストリッツア映画に通じるものあり。まだまだ若い監督なので、次回作にも期待大です。

ペルシャ猫を誰も知らない NO ONE KNOWS ABOUT PERSIAN CATS 
バフマン・ゴバディ監督、ネガル・シャガギ、アシュカン・クーシャンネジャード出演
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Posted on 2010/09/27 Mon. 18:59 [edit]

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