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CINEMA草紙

ブラジル、アルゼンチン、メキシコ、キューバ等々、中南米カリブのラテン映画・音楽・カルチャーを紹介するニッチなブログです!

カティンの森  

ポーランド大統領の専用機が「カティンの森事件」の追悼式典に向かう途中で、墜落したというニュースを知った。
アンジェイ・ワイダ監督の「カティンの森」をつい先日、見たばかりだったので、ポーランドの不運、そして国民の悲しみを思い、このニュースには少なからずショックを受けた。

☆舞台は、第2次大戦下のポーランド。ナチスとソ連に侵攻されたポーランドでは、多くのポーランド人がナチスもしくはソ連の捕虜となって収容所へ送られた。
将校の夫を持つアンナは、娘と共に夫へ会いに行くが、夫アンジェイは、将校としての責任を果たすため、仲間と共にソ連軍に連行される道を選ぶ。
その頃、大学教授のアンジェイの父は、勤務する大学でナチスに捕えられ、収容所送りになる。
1943年4月、ドイツ軍はソ連領のカティンで多数のポーランド人捕虜が虐殺されたと発表。だが、ナチスが撤退し、ポーランドがソ連の支配下に置かれると、情報がすり替えられ、カティンでの虐殺はナチスの犯罪と公表される。
間もなく、夫の生還を信じているアンナの元に、犠牲者死亡リストに出ていた夫の友人が訪れる。

戦争によって引き裂かれた家族の悲劇は、世界中で語られ、数えきれないほど多くの映画が作られてきた。正義が通用しない世の中で、主張することもできず、息をひそめ、肩を寄せ合って生きるしかない被害者家族の人生は、何度見ても、胸が締め付けられる。
若かりし頃は、さまざまな戦争映画を好んで見ていた方だし、ワイダ監督の底なしに重いテーマのモノクロ映画も嫌いではなかった。
だが、戦争映画を見過ぎたせいか、年のせいかは定かではないが、この「カティンの森」では、胸に重量級の重りを乗せられたような気分になり、「苦しい。もうやめて」と叫びたくなり、そして「戦争の悲劇を扱った映画は当分見たくない」と、思ってしまうほどの重厚感があった。
今まで見てきた戦争ものに比べて、特別悲惨な事件を扱っているわけではないし、ワイダ作品の割には、女性的な視点で描いた作品ではある。
だが、ここまで見る側の気持を重くさせたのは、監督が作品に込めた魂の重さが尋常ではなかったからのような気がしてならない。
父親をカティンで虐殺されたワイダ監督が、事件から70年を経た今、被害者家族の一人として自らメガホンをとった。70年という年月は、一般的には長いと感じるが、被害者家族にとっては、たとえ100年経とうが、その悲しみを忘れることはできないだろう。
「カティンの森事件」を、作家目線で語るのには、半世紀以上の時間が必要だったのかもしれない。
ポーランド軍捕虜の大虐殺「カティンの森事件」、それがソ連によって、ナチスの犯罪と捻じ曲げられたこと等、ほとんど知らなかったので、ポーランドの悲しい歴史を知る意味でも、とても勉強になった。
今回の大統領専用機の事故によって、「カティンの森」事件が再びクローズアップされたというのは、なんとも皮肉な話ではあるが、戦争によって起こった悲劇は、語り継がれるべきものである。
「当分、重い戦争映画は見たくない」というのが本音ではあるが、事実から目をそむけてはいけない、と改めて考えさせられた。

カティンの森 KATYN
アンジェイ・ワイダ監督、マヤ・オスタシェフスカ、アルトゥル・ジミイェフスキ出演

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Posted on 2010/04/11 Sun. 16:07 [edit]

category: 映画レビュー

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