CINEMA草紙

ブラジル、アルゼンチン、メキシコ、キューバ等々、中南米カリブのラテン映画・音楽・カルチャーを紹介するニッチなブログです!

カルロス・レイガダス作品レビュー(in東京国際映画祭)  

バトル・イン・ヘブン Batalla en el Ciello 
カルロス・レイガダス監督、マルコス・ヘルナンデス出演

☆メキシコ・シティで暮らす労働者は、雇い主の娘が売春をしている娼館を訪れ、その娘を指名する。男には、誘拐した子供を死なせてしまった過去があり、その罪を娘に告白する。
 でっぷりと太り、色黒で汗臭そうな労働者と、色白で若い上流クラスの娼婦。真逆の容姿を持った二人がベッドで横たわる姿のアンバランスさが妙に印象に残った。
醜い中年男のワン・ショット、男が直立不動のまま振り返る動作などなど、絵的に美しいとはいえないシーンが多くて、正直、見ていて気持ちのいいものではないのだが、とても奇妙な世界に対して目をそらす気になれず、最後まで居眠りもせず、画面に見入ってしまった。
難解でいわゆる芸術的な映画だとは思うのだが、男やその妻のドラム缶体型や、妻のぶっきらぼうなもの言い、メガネや帽子が不恰好に飛んでいくシーンなど、随所に笑いが散りばめられていて、思わず一人でクスクス笑いしてしまった(ほかの観客はシーンと静まりかえっていましたが)。
若い娼婦に思いを寄せる不器用な男が主人公で、彼の贖罪がテーマになっているあたりは、キム・ギドク映画に通じるものアリ。決して好きな映画とはいえないが、嫌いじゃない世界です。

ハポン Japon
カルロス・レイガダス監督、アレハンドロ・フェレティス出演
☆人生に絶望した都会の男は、山奥の村にたどり着く。ある老婆の家で世話になり始めた男は、少しずつ、生きる意欲を取り戻しはじめるが…。
単純に言えば中年男の再生物語ではあるのだが、その切り取り方がとても個性的。男が杖をつきながらゆっくり歩く姿、皺くちゃのお婆ちゃんが黙々と男の世話をする姿、労働者がだみ声で歌う姿、自慰行為、年老いた男女のセックスシーン等々、美しさとは程遠いシーンの連続なのだが、観客にとって優しくないシーンをゆっくりとつないでいきながら、最後に大きなドラマが待っている。その静と動のコントラストがお見事である。
山奥の砂利道のシーンはキアロスタミ映画を意識したと話していたが、きいて納得。テイストが似てるかも。
 一人暮らしの女の窮地を救おうとして失敗するあたりは、逆西部劇っぽくもあり…。とにかく、一言ではいえないほど、深読みすれば、いろんな要素が詰まっていそうな作品である。
 一見、常識人で素敵なルックスをお持ちのレイガダス監督だが、頭の中は、凡人には理解不能なアイデアであふれているのでしょう。
何度も言うが、決して好きなタイプの映画ではない。だけど気になって仕方のない監督の一人であることは間違いない。
「静かな光」のレビューはこちら
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Posted on 2009/11/01 Sun. 18:15 [edit]

category: 映画賞・映画祭

thread: 東京国際映画祭 - janre: 映画

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コメント

キライだけど、気になる存在

bossaさん、こんにちわ。
先日の東京国際映画祭では、久しぶりに(というか、ほぼ初めて)ゆっくりお喋りできて嬉しかったです。
さて、bossaさんがレイガダス監督を“まな板に載せる”のを、楽しみにしていました。

「決して好きとは言えないが・・・」 そうそう!
「嫌いじゃない」 私は生理的にほぼキライ。絶対に好きではない!

『バトル・イン・ヘブン』は、ハバナ映画祭で観たのですが、隣に座っていて、映画が始まるまで私にキューバ革命の素晴らしさを力説していた女性は、始まってまもなく「最悪!」と耳打ちして席を立ってしまいました。私は「出たい」と思いつつ、最後まで見た。なぜだ?ケチだからか?

「気になって仕方ない」 そう、キライなのに見ちゃう。なぜだ?
単なる見栄か意地か(私の場合デス)? 
あるいは嫌な予感がしながらも、つい期待してしまうから?

とはいえ、「ラース・フォントリアの『アンチ・キリスト』をメキシコで上映したい」という発言や、「もっとラジカルに、パーソナルに、個性を最大限に発揮せよ!」という主張に触れると、ちょっとだけ親近感と期待を抱きます。

やっぱり気になる存在ですね。ヤダヤダ・・・

URL | Marysol #FGzYqq/.
2009/11/03 13:54 | edit

ありがとうございます!

コメントありがとうございます!
しつこく「好きじゃないけど…」、と連呼してしまいました^^;
でも、「しずかな光」にはけっこうはまったので、次回作を見る機会があったら、また行ってしまうのだろうなあ。
たぶん日本では無理でしょうが^^;

URL | bossa #-
2009/11/04 19:17 | edit

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