CINEMA草紙

ブラジル、アルゼンチン、メキシコ、キューバ等々、中南米カリブのラテン映画・音楽・カルチャーを紹介するニッチなブログです!

ブラインドネス  

☆☆多国籍映画「ブラインドネス」が日本より一足はやくブラジルで公開された。ブラジル映画界の出世頭メイレレス監督の新作というだけあって、ここサンパウロでも平日というのに映画館はほぼ満席。映画の冒頭、伊勢谷の日本語の台詞に、観客からは小さなどよめきが…。

☆大都会の雑踏で、車を運転中の日本人男性が、突然、目の異変を訴えた。「何も見えない」と、取り乱す男は、なんとか家までたどり着き、日本人の妻に連れられて眼科医の元へ。
だが、原因は不明のままだ。まもなく男を診察した医者、同じ病院に居合わせた患者達などが、次々と視力を失っていく。
この謎の感染症に世界はパニック状態となり、患者達は監獄のような収容所へ送られる。
唯一、視力を失わない眼科医の妻は、収容者の世話に追われる。
やがて、銃を持ったバーテンが収容所を支配するようになり…。

原因不明の感染症に襲われた人間達の不安感と、劣悪な収容所での極限状態の生活を生々しく描いている。
時代も都市もはっきりと示されず、出てくる人々も多国籍。
だが、撮影の多くがサンパウロで行われ、見憶えがある場所ということで、なんだか他人事とは思えない現実味があった。
感染症患者の収容所は、管理者の誰もいない監獄のようで、垂れ流し状態。汚物の匂いが画面を通して漂ってきそうな勢いである。
食物の配給が停止したあとは、銃を持った男が、人々の金品を奪い、女たちに売春を強要するようになる。このあたりの極限状態の様子は「漂流教室」(漫画)を思い出した。
さすがは名作「シティ・オブ・ゴッド」を生んだメイレレス監督だ。劣悪な環境、無法地帯の描き方が秀逸だ。
ただし、人々のキャラはいま一つ魅力に欠けた感あり。老語り手(ダニー・グローバー)や、極悪人(GGベルナル)にもっとスポットを当てる、とかすれば、もっと楽しめたかも。
日本人夫婦(伊勢谷・木村)も演技が不自然で浮き気味だったし…(私が日本語がわかってしまうので仕方ないが)。
パニック映画なのか人間ドラマなのか曖昧な感じで評価し難いが、それでも、映画館を出る直前「もし、街中の人々が失明して、無法地帯になっていたら?」などと想像して、ちょっとだけ緊張した。

大都市サンパウロは、映画で映し出されたように、灰色の高層ビルと道路だらけのコンクリート・ジャングルである。一方で、ラストシーンに使われた美しい景観も併せ持っている。
殺伐とした街サンパウロの一角にある緑豊かな高級住宅街を横目に、私は、引ったくりに注意しながら、徒歩で移動する日々を送っている。

ブラインドネス
フェルナンド・メイレレス監督、ジュリアン・ムーア、マーク・ラファロ、ガエル・ガルシア・ベルナル、ダニー・グローヴァー、アリス・ブラガ、木村佳乃、伊勢谷友介出演

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Posted on 2008/09/28 Sun. 05:33 [edit]

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