CINEMA草紙

ブラジル、アルゼンチン、メキシコ、キューバ等々、中南米カリブのラテン映画・音楽・カルチャーを紹介するニッチなブログです!

ブラジルのブラック・コメディ映画「ESTAMAGO」  

休日の午後、スコセッシ監督がローリング・ストーンズのライブを追ったドキュメンタリー「Shine a light」を見るぞ!と決めて出かけた映画館は長蛇の列。
そして、「Shine a light」はesgotada(売り切れ)の表示が…。
30分前では甘かった…。ここは大都会サンパウロですしね。
ということで、チケットが取れたブラジル映画「estamago」を観賞。
前情報をまったく入れずに見たのだが、これが意外や意外の大ヒット!

☆田舎からサンパウロにやってきた男ノナートは、腹をすかして場末の食堂で無銭飲食。店長から代金を払う代わりに店の鍋を洗って行くよう命じられる。
ひょんなことからその店で料理まで任されることになり、パステウの作り方を一から教わることに。
ノナートには天性の味覚が備わっていたことから、場末の食堂は大繁盛。
やがて、ノナートはイタリア料理店の店長に見出され、人気の料理人になっていく。
 一方、料理人への出世物語と並行して描かれるのは、刑務所にいる同じ男ノナート。
入所当時は、荒くれ者からいじめられ、部屋の隅で寝ていたノナートだったが、まもなく料理の腕を買われ、部屋のボスからベッドを与えられるようになる。

ださくて冴えない田舎者だが、味覚だけは天才的なノナート。彼は、パステウの作り方やチーズの種類を学びながら、徐々に料理人として頭角を現していく。ここまでは、よくある料理人の出世ドラマ。
でも、この映画は、ちょっとひねりがある。ノナートには秘密があり、何やら危険なにおいすら感じる。おいしい物に目がない娼婦イリアを幸運の女神と思い慕い続けるのだが、イリアにとっては、おいしい料理を作ってくれる都合のいい客でしかない。でも、純真なノナートにとって、彼女は最愛の人…。
刑務所内と外。二つの場面が、絶妙なタイミングで構成されていて、クライマックスへといっきに突き進む。

高級料理を作っているわけではないのだが、料理と食材の映し方がウマい!ただ、玉ねぎとニンニクを切るシーンを見ただけで、むしょうに食欲をそそられた。
ただし、刑務所での料理シーンでは、アリを入れたり、ウジが入っているなど、グロかったですが。この映画をみて食欲をなくすか、食欲がそそられるかは人によって違うだろうが、映画を面白いと感じた人は、おそらく美味しいものが食べたくなるはず。

ノナートの飄々とした風貌は笑いを誘い、デブの娼婦の体つきも愛嬌がある。そして、刑務所内の人間たちもそれぞれが個性的。
どこを切りとっても、それぞれにシニカルな笑いが詰まっていて、とても美味。

そして、主役を演じたJoao Miguelがマラビリョーゾ!
「Mutum」の暴力父親役もやっていたようだが、まるで別人だ。うまい役者をまたもや発見!
怯えた顔の裏に狂気を隠した危ない料理人を、リアルに演じていた。

この映画、あまり評判になってないようだが、かなり質が高いし、今年のブラジルの賞レースに、演技や脚本で絡んでくることが予想できる。

料理人の映画といえばグリナウェイの「コックと泥棒~」や、「パペットの晩餐会」「赤い薔薇ソースの伝説」といった秀作があるが、この映画は、料理映画でもありブラック・コメディでもあり…。
「コック~」を面白いと思えた人なら、きっと楽しめるはず。グロいと感じるか、美味と感じるか。
私には、大変、美味でした!


Estomago
Marcos Jorge監督、Joao Miguel、Fabiula Nascimento、Babu Santana出演
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Posted on 2008/04/29 Tue. 12:54 [edit]

category: ブラジル映画

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