CINEMA草紙

ブラジル、アルゼンチン、メキシコ、キューバ等々、中南米カリブのラテン映画・音楽・カルチャーを紹介するニッチなブログです!

カンヌ映画祭07の審査員賞受賞作「Luz Silenciosa」  

ただ今、フランスではカンヌ映画祭の真っ最中。
そんな中、ブラジルでは、去年のカンヌで審査員賞を受賞したメキシコ映画「Luz Silenciosa」が公開になりました。
ウワサには聞いていたけど、それはそれは、不思議な世界で…。

☆主役はロシア・メノナイト派のヨハン一家。彼らは、メキシコに住みながら、ロシア語(?らしき言葉)を話し、テレビも電話も持たず、現代とは思えない質素な暮らしを続けている。
一家の主ヨハンは家族思いで、宗派の規律をしっかると守っているものの、一方で、同じ宗派の女マリアンヌをも愛してしまう。

ロシア・メノナイト派というのは、アーミッシュのような暮らしをしている人々で、現代社会に迎合せず、古いしきたりを守り続けている超保守派。そんな彼らの静かな暮らしぶりを、ドキュメンタリーのように、ゆっくり、淡々と、超長まわしで、カメラは追い続ける。

メキシコ平原の夜明けのロング・ショットから始まり、平原にまっすぐ伸びた砂利道のワン・カット、そして、ヨハン一家の長ーいお祈り、一人家に残され孤独に座るヨハンのアップ…。
長回しの連続で、はじめはそのリズムについて行けず、正直戸惑った。
でも、その長回しに慣れてくると、今度は心地よくなり、長回しと、自分の集中力、どちらが先に切れるか、などなど、根競べなどして楽しんでしまった。

単に、メノナイト派の人々の暮らしぶりを長回しテクを使って紹介するだけなら、ドキュメンタリーのほうがリアルでいいのだろうが、この映画にはドラマがある。
後半30分に、いきなり大きな波乱があるのだ。
それまでの2時間弱が、あまりに静かで単調な世界だっただけに、その展開に、客席からは思わずどよめきが起こるほど。
しかもその波乱が、1回でなく2回も起こるのだ。

映画の始めと終わりで、こんなにも感じ方の違う映画も珍しい。でも、それが不思議と違和感はなく、うまい具合につながっているのである。

カメラの長回しといえば、タルコフスキーや相米監督らが有名だが、レイガダス監督も、名監督たちに引けをとらない長回しテクニシャン(?)と言えるだろう。
カンヌやベルリン映画祭での受賞も納得の秀作だ。

ただし、一般受けする映画ではない。前に座っていた若者は、ずーっと眠っていたし、私も、もし寝不足で見たら、寝息をたててしまっていたはず。
この独特のリズムを持った世界、はまると面白いが、まったく受け付けない人も多いだろう。
正直、静かな映画は苦手なほうなのだが、この映画には珍しくハマった。
カウリスマキ監督作品を、より淡々と個性的にした映画、とでも言ったらいいのか。
でも、ちょっとテイストは違うしなあ(即、撤回)。
とにもかくにも、カルロス・レイガダスという映画監督、只者でないことだけは確かである。次回作にも期待大!

Luz Silenciosa (2007年・メキシコ)
Carlos Reygadas監督、Cornelio Wall、Elizabeth Fehr、Maria Pankratz出演
スポンサーサイト

Posted on 2008/05/24 Sat. 04:35 [edit]

category: 映画レビュー

thread: 公開予定前の映画 - janre: 映画

tb: 0   cm: 0

コメント

コメントの投稿

Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://bossacine.blog59.fc2.com/tb.php/23-278b3cbd
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

最新記事

TWITTER

最新コメント

最新トラックバック

検索フォーム

アーカイブ

カテゴリ

リンク

RSSリンクの表示


▲Page top