CINEMA草紙

ブラジル、アルゼンチン、メキシコ、キューバ等々、中南米カリブのラテン映画・音楽・カルチャーを紹介するニッチなブログです!

絶対の愛  

☆セヒとジウは、付き合い始めて2年のカップル。セヒは、彼がいつか自分に飽きてしまうのではないかと、気が気でない。デート中、ジウがほかの女に色目をつかった、と怒り出したセヒは、自分の顔を変えればジウを繋ぎとめられると思い込み、整形手術をしてジウの前から姿を消す。
数ヵ月後、セヒを忘れられないジウが二人で行った思い出の公園に行くと、大きなマスクとサングラスをした謎の女と出会う。
(以下、ネタバレあり)

好きな男を飽きさせないために別の女になろうとする女心…。
その一途さ、わからなくもないけれど、客観的に見ると、セヒの姿はとても痛々しい。
(昔、向田邦子の短編にも、同じような話があったが、あれは目を二重にしただけだった。こちらは整形手術の本場、韓国ですから、大胆に総とっかえ手術)
セヒの行動は、一見、ジウを愛するが故のようだが、本質はまったく逆で、相手の気持ちを無視した自己愛そのもの。かなり、うっとうしい女とも言えるだろう。
整形が成功し、新しい顔で彼に近づくと、今度は、昔の女、つまりは昔の自分をいつまでも忘れられない男に苛立ち、さらには昔の自分に嫉妬することになる。
この展開、十分に予想できたし、ギドク作品にしては何のひねりもなかったので、ちょっとがっかり。喫茶店のシーンも、公園のシーンもしつこいぐらいにワンパターンだし…。
それと、整形手術のリアルな映像がグロい。「これでもやりますか?」と、説教されている気分になり、あまり好感が持てなかった。

ところが、前半のワンパターンとはうって変わり、女の整形が暴露され、男が女の元を去ってからの展開はぐっと謎めいてくる。現実か幻覚かはっきりしない曖昧な映像と、愛に飢えた女が狂っていく様は、ギドク監督作品らしい“危うさ”が感じられ、引き込まれるものがあった。
家族だろうが恋人だろうが、相手のすべてを知ることは不可能だし、人は人を100%信じることはできない。
「信じようと努力する」ことで、人と人は、かろうじてつながっているだけなのかもしれない。

蜃気楼のような男との永遠のつながりを見つけた「うつせみ」の主人公とは逆に、この映画の二人は、目の前の愛を信じることが出来ずに破滅していく。
二人の存在を消しゴムで消してしまったかのような、観客を突き放したエンディングは圧巻。
「絶対の愛」というよりも、「絶望の愛」のほうがしっくりきそうな、壮絶な愛の物語です。




絶対の愛 TIME
キム・ギドク監督、ソン・ヒョナ、ハ・ジョンウ、パク・チヨン出演
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Posted on 2007/03/19 Mon. 00:55 [edit]

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