CINEMA草紙

ブラジル、アルゼンチン、メキシコ、キューバ等々、中南米カリブのラテン映画・音楽・カルチャーを紹介するニッチなブログです!

リオ・ミレニアム  

今年のカンヌで女優賞に輝いた作品「LINHA DE PASSE」の監督コンビ、WサレスとDトーマスが1998年に撮った小品をDVDで鑑賞。
☆舞台は1999年の年末から2000年1月1日の朝。ファベーラに住む小悪党のシッコは、刑事の不正をネタに金をゆすりとり、家族の住む丘の上のファベーラへ戻ってくる。
方やファベーラ近くに建つ中流アパートに住んでいたマリアは、31日の朝、突然、恋人が姿を消し、はげしく取り乱す。
そして、30年の刑で服役中のジョアンは、爺と呼ばれる年老いた囚人の一人言に悩まされていた。
大晦日、その爺が突然倒れた。ジョアンは、爺の死の騒動の最中に脱獄。その脱獄を手引きした看守から、ある男を始末するよう命じれる。

未来が見えないファベーラの住人、服役中の囚人、そして恋人を突然失った女。
それぞれ別の場所で生きていた3人が、世紀末の夜から朝にかけて出会い、ほんの一瞬、愛を感じ、未来への希望を抱く。
お先真っ暗な脱獄囚ジョアンが、世紀をまたぐ瞬間にマリアの命を救い、リオの丘にそびえるキリスト像を横目に、
「新世紀は、人が殺されない世の中になるんだ!」
と、叫ぶシーンは圧巻。
犯罪の巣窟であるファベーラと、世界に誇る景観が隣り合わせの街リオならではの名場面である。

新世紀を迎えても、世の中が変わらないことは誰もがわかっている。それでも、変わることを信じてみたい。
現実には、ユートピアなんて存在しない。21世紀も相変わらず、地球のどこかで殺し合いが続いている…。
このシーンには、そんな社会に対する嘆きがこめられているのだろう。
決め台詞と映像の美しさは、さすがWサレス。期待どおりの質の高さである。

ただ、ストーリーは予定調和の感あり。とくにマリアのキャラがありきたりだ。
平凡で浅はかな中流女と、未来のない脱獄犯の一晩の恋。
死への距離感が違う二人を出会わせることで、ブラジル社会の階級差を表現しているのだろうが、ありがちなシチュエーション。もう、ひとひねりほしかったなあ。
期待が大きかっただけに、正直、ちょっと物足りなかったが、作品にこめられたストレートな思いは、感じることができた。

わずか数分の出演だった老囚人の鼻歌が印象に残ったので調べてみたら、彼は、ブラジルの大御所サンビスタ、ネルソン・サルジェントだそうです。
納得の存在感。本物は、わずか数分であろうが、しっかりと人を引き付けることができるのですね。まだ現役かどうか不明だが、機会があったら、ぜひ生の歌声をきいてみたい。
Wサレス監督の音楽センスは、スコセッシ監督並にオッチモです!

O PRIMEIRO DIA (邦題 リオ・ミレニアム、英題 Midnight) (1998年・ブラジル)
ウォルター・サレス、ダニエラ・トーマス監督、フェルナンダ・トーレス、ルイス・カルロス・ヴァスコンセロス、マテウス・ナシェテルゲレ、ネルソン・サルジェント出演
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Posted on 2008/06/30 Mon. 15:18 [edit]

category: ブラジル映画

thread: アカデミー賞/映画賞関連 - janre: 映画

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