CINEMA草紙

ブラジル、アルゼンチン、メキシコ、キューバ等々、中南米カリブのラテン映画・音楽・カルチャーを紹介するニッチなブログです!

ゾディアック  

☆☆ある一つの連続殺人事件を、人生をかけて追った4人の男の心理ドラマ。
韓国映画の傑作「殺人の追憶」にゾクゾク感を覚え、かつ根気のある人は必見!
逆に、D・フィンチャー作品「セブン」「ゲーム」のファンは、期待しすぎるとしっぺ返しを食らうかも?
☆1969年、カリフォルニアで若いカップルが銃撃される事件が起こった。まもなく犯人と名乗る男が、警察に自らの反抗を告白。男は自分を「ゾディアック」と名乗り、マスコミや警察に、暗号文と手紙を送りつける。
新聞社の風刺漫画家グレイミスは、ゾディアックの暗号に興味を示し、事件を追う記者エイブリーとともに、ゾディアック探しに夢中になる。
一方、担当刑事トースキーとアームストロングは、ある一人の容疑者リーを喚問。直感で犯人とにらむが、筆跡鑑定でシロと出てしまう。
警察とマスコミをあざ笑うかのように、連続殺人を繰り返すゾディアック。暗号、手紙、タレコミ…。状況証拠はたくさんあるかに見えたが、真犯人にはどうしてもたどり着けない。
やがて、担当記者エイブリーは、ゾディアック事件にのめり込みすぎ、何かに取り付かれたかのように怯え、そしてアルコールで身を持ち崩す。
その後、担当刑事トースキーとアームストロングも、ゾディアック事件への執着で心身ともに疲れ果て、担当を外れることに。
長い年月が過ぎ、事件が風化してしまったかのように思えたある日、再びゾディアックが動き出す。最後に残ったのは、漫画家のグレイミス。彼は、妻から見放されながらも、ゾディアック事件にのめり込み、事件の謎に迫る本を出版する。

担当記者、刑事、漫画家。4人の人物が、ゾディアック事件に執着し、事件の解明にのめり込むうち、人生を狂わせていく様子が、執拗かつ丁寧に描かれている。
はじめは、フィンチャー監督の出世作「セブン」に似てるな、などと冷ややかに見ていたのだが、エイブリーが身を持ち崩すあたりから、なぜか身体がゾクゾクするぐらい、気持ちが高ぶり、その面白さにはまってしまった。
ゾディアック事件は実話で、未解決であることがわかっていても、謎解きをせずにいられない。ゾディアックという幻のような犯人に取り付かれた男たちと一緒になって、苦しみながら、あれこれ考えずにいられなくなってしまったのである。

おそらく、この映画は、まったく受け付けない人も多いだろう。
何だかさっぱりわかんない、とギブアップした人もいたはずだ。
それこそがフィンチャー監督の狙い。迷宮の中、出口を見つけようともがき苦しむ4人と一緒に、観客が頭をかきむしる姿を想像して、監督は、ほくそ笑んでいたに違いないのだ。
「さっぱりわからん」と、出口探しを諦めてしまった人にとって、この映画は苦痛の2時間半となる。
一方、出口探しを最後まで根気よく続けられた人は、結果的に出口が見つからなかったとしても、4人と苦悩を共有できたことで、何かしらの満足感を得ることができるのだ。

正直、今まで、フィンチャー監督の映画は、あまり好みではなかった。「セブン」「ゲーム」は、評価されているものの、あっと驚かせすぎるエンディングに私は嫌悪感を覚えた。
だが、この「ゾディアック」に関しては、フィンチャー監督、やっぱりすごい、アッパレ!と、白旗あげずにはいられない。
怪しげな雰囲気、じっとり汗ばむような重さ、そして、追う側と追われる側の人生をかけた長期に渡る心理戦…。
ゲーム感覚で事件が解決してしまうエンターテイメント作品と違い、実際の事件を扱っているだけに、真実のゾディアック事件はどうだったのかを知りたくなる。
実際の未解決事件というのは、こうやって何人もの人間が関わり、苦しんだ末に、迷宮入りしていくものなのかもしれない。
エンドロールが終わり「あー、疲れた」と、腰を上げたとき、面白かったと思えるか、もしくは苦痛だったと感じるか。
評価ははっきり二つに分かれるだろう。でも、フィンチャー監督の魂がこもった渾身の一作であることは間違いない。

最後にもう一言:
元アル中、ダウニーJr.の落ちぶれた姿は、さすがにリアル。
役作りのせいか、少しぽっちゃりしたマーク・ラファロにご執心のため、担当刑事トースキー編が、もっとも楽しめた。相棒刑事が「ER」のグリーン先生だったとはまったく気づかず。メガネないし、髪があるんだもの…。
この事件、連続ドラマにしても面白そうだが、アメリカではもうドラマ化されてるの? 

ゾディアック ZODIAC ★★★
デヴィッド・フィンチャー監督、ジェイク・ギレンホール、マーク・ラファロ、ロバート・ダウニー・Jr.、アンソニー・エドワーズ出演
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Posted on 2007/06/21 Thu. 19:28 [edit]

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