CINEMA草紙

ブラジル、アルゼンチン、メキシコ、キューバ等々、中南米カリブのラテン映画・音楽・カルチャーを紹介するニッチなブログです!

明治学院大学の映画シンポジウムで、はじめて知ったアルゼンチンの前衛映画集団「Cine de la Base」とRaymundo Gleyzerのこと  

昨日、明治学院大学の映画シンポジウムに参加してきました。
60~70年代の日本の映画(おもに前衛)が、世界各国でどのように受け入れられていたかを検証する、という内容で、世界各国から研究者が集まり、発表。
最後には、当時の日本アングラ映画界の中心にいた(ご本人は、溺れそうなぐらい末端にいた、とおっしゃっていましたが)足立正生監督が登壇し、当時のリアルな話をたっぷりと聞かせてくれました(足立監督の激動の半生については、Wikiでご覧ください)。
先日、不幸にも事故で亡くなられた若松孝二監督の盟友であった足立監督は、71年カンヌ映画祭での若松、大島両監督との思い出を懐かしそうに語り、また「再評価されてきていたことは若松監督自身も感じていただろうし、これから、という予感もあったはず。それだけに残念でならない。世界でも類のない多作な監督であった」と、短くではありましたが、若松監督への思いを語っていました。

大島監督が病に倒れ、若松監督が突然逝ってしまい、残ったのが、一番死の近くにいたはずの足立監督、というのは、なんとも皮肉なもんだな、というのが率直な感想です…。

さてここからはラテンの話題。
学者ではないので、映画論を語る気はないのですが、このシンポジウムで初めて知ったのが、アルゼンチンにおける60~70年代当時の前衛映画集団「Cine de la Base」について。
フェルナンド・ソラナス監督が、そのムーブメントの中心にいたことは想像できたのですが、レイムンド・グレイセル Raymundo Gleyzerという監督の名前を初めて聞いて、興味がわきました。

グレイゼル監督は、カメラと銃を同時に持った人で、(フランス人のニコル・ブルネーズ氏いわく、アルゼンチンの足立正生のような存在)、当時の軍事政権によって拉致され、行方知れずのまま、ということ。
ソラナス監督はフランスに亡命し、今はアルゼンチンに戻ってご健在なのですが(2008年にはサンパウロにも来て下さいました!)、命を奪われた監督がいたことに、ひどく衝撃を受けました。

グーグルで探したら、過去に、山形ドキュメンタリー映画祭で彼のドキュメンタリー映画『Raymundo』が上映されていて、フィルム貸し出しもしているようです! 見てみたーい!!
(映画の詳細はこちら)

『Raymundo』公式サイト
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Posted on 2012/11/11 Sun. 18:22 [edit]

category: ラテン映画

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久々に心の琴線に触れました…『桃(タオ)さんのしあわせ』レビュー   

☆家政婦として60年、一つの家族を支えてきたタオさんは、今、その一家の一人、ロジャーと猫のカカと共に暮らしている。ロジャーの母や姉一家はアメリカに移住し、ロジャーとタオさんだけが香港に残されたのだ。そのロジャーも、中国と香港を行き来する毎日。会話もほとんどない味気ない生活を送っていた。
 そんなある日、タオさんが脳卒中で倒れてしまう。後遺症で身体がうまく動かせなくなったタオさんは、一家に迷惑をかけまいと、施設に入ることを決意する。
 ロジャーは、頻繁に施設に通いはじめ、タオさんを献身的に介護し始める。

☆☆香港のある一家を陰で支え続け、自分の家族を持たなかったタオさんは、外から見れば孤独な老人かもしれない。けれど、献身的にロジャーの家族に尽くしたタオさんは、家族のみんなから愛されていた。
決して出しゃばらず、人に頼ろうとせず、いつも笑顔を忘れないタオさん。
そんなタオさんが、ロジャー一家にとってどれだけ大切な人だったかを、小さなエピソードを積み重ねながら丁寧に描いていく。
タオさんと同じ年のロジャーの母は、タオさんに助けられた思い出を語り、ロジャーの姉は、子供の頃、タオさんにかわいがられていたロジャーに焼きもちを焼いたと話し、ロジャーの友達も、タオさんが作り置きしていた牛タン煮を食べながら、タオさんに電話して明るく励ます…。
みんなに愛されていたことが伝わってきて、見ているこちらも、タオさんと一緒になってついほほ笑んでしまった。
一方で、とっても素敵なタオさんには、子供も夫もいない。だから、大みそかと正月には、人のいない施設で静かに暮らさなければならない。もちろん、アメリカのロジャー一家からは新年の祝いの電話が入るし、忘れられたわけではない。
それでも、タオさんの生活の基本は孤独。猫のカカと二人で過ごすのがタオさんの人生なのだ。孤独であることをしっかりと受け止め、愛するロジャー一家にも頼ろうとしない。
タオさんは、とても自立した女性でもあるのだ。
 同じ施設にいた老女にいつもきつく接していた娘が、母が亡くなった時に泣きじゃくっている姿を見て、タオさんは何を思ったのだろう。
私には、ケンカのできる母子の関係性をうらやましく感じたのだが、タオさんも同じだったのではないだろうか…。

タオさんと献身的なロジャーの微笑ましい関係も、もちろん涙を誘うのだが、ロジャーに気を使ってしまうタオさんの謙虚さ。そしてその奥の孤独感に、胸をうたれてしまった。
 人の幸せのはかり方は、千差万別。家族に囲まれ、愛されていればそれに越したことはないのかもしれない。けれど、家族がいなくても、病気になっても、施設に入らなければならなくても、タオさんのように、最後にみんなに愛され、生を全うできれば、それはとても幸せなことだと思う。
 こんなにも、大好きになってしまったタオさんを演じたのはディニー・イップ。香港の大女優の入魂の演技は、ベネチア映画祭女優賞も納得!の素晴らしさでした。

 映画を見終わった後も、タオさんのほほ笑みが頭から離れず、周りの人にやさしく接したくなりました^^。

最後にもう一言:
この映画のプロデューサー、ロジャー・リーの家政婦の実話を、傑作『女人、四十。』のアン・ホイが監督。アンディも共同プロデューサーとして名を連ね、ノーギャラで出演したとのこと。この豪華なスタッフ陣に加え、脇が超豪華!冒頭、いきなりツイ・ハークとサモハンが出てきちゃうし、アンソニー・ウォンは介護施設の経営者として登場。『インファナル・アフェア』のキョン役チャップマン・トーなんて、歯医者として一瞬出てくるだけ。ほかにも見たことある役者たちが、チョイ役で出てくるのも見ものです。彼らも、タオさんの魅力に引き寄せられたのかも?!
&タオさんの相棒、猫のカカが超キュート。耳が小さくて手足が丸っこい、まるでぬいぐるみみたいな猫ちゃん。どこから見つけてきたのでしょう? 個性的なカカの風貌に夢中になってしまいました。

桃(タオ)さんのしあわせ 桃姐/A SIMPLE LIFE 
アン・ホイ監督、ロジャー・リー原作・製作、アンディ・ラウ、ディニー・イップ、チン・ハイルー、ワン・フーリー、アンソニー・ウォン、サモ・ハン、ツイ・ハーク出演

Posted on 2012/11/10 Sat. 10:32 [edit]

category: 映画レビュー

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ラテン・カルチャー・イベント「ドゥエンデ」11/29~12/1開催決定!『ヴィオレータ、天国へ』主演女優も来日予定です!  


セルバンテス文化センターで、映画・音楽フェスティバル「ドゥエンデ」が開催されます!

11月29日(木)~12月1日(土)

ラテンビート映画祭で上映し、好評を博した『ヴィオレータ、天国へ』も再上映。主演女優も来日予定です!

作品・スケジュールの詳細はこちら

Posted on 2012/11/04 Sun. 12:35 [edit]

category: ラテン映画

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