CINEMA草紙

ブラジル、アルゼンチン、メキシコ、キューバ等々、中南米カリブのラテン映画・音楽・カルチャーを紹介するニッチなブログです!

ブラジルの奇才、グラウベル・ローシャ監督特集が始まりました!  

ブラジルの奇才グラウベル・ローシャ監督特集がユーロスペースで始まりました。
グラウベル・ローシャは、ブラジル映画界では伝説化しているようですが、その批判精神や個性的な作風は、とても大衆受けするような次元にはありません。
私が初めて遭遇したローシャ作品は、日本でも上映されている「アントニオ・ダス・モルテス」。サンパウロの映画館で人知れず開催された特別上映で見たのですが、観客は10人に満たなかったのを覚えています。
(レビューはこちら

何の予習もせず、ただ“伝説”の監督らしい、という情報だけで見に行ったため、見終わったあとの「何が何だか…???」、といった戸惑いだけが、印象に残っています。
その後、ローシャ映画好きの日本人に率直な感想を述べ「日本語字幕があれば、少しは違ったのかなあ」と話すと「字幕あっても大差ないと思うよ~」と、言われてしまったのでありました…。
というわけで、ローシャ監督作品の、哲学的で、宗教的で、感覚的で、枠にとらわれない奔放さを、サンパウロですでに体験済みなので、先週末見に行ったローシャ監督最後の作品「大地の時代 A IDADE DA TERRA」も、当然、一筋縄ではいかないことはわかっていたのですが…。


☆バイーアの美しい海岸、リオのカーニバル、ブラジリアの近未来的建築物etc...。そんなブラジルの風景を背景に、あるものは政治を、あるものは原爆を、あるものは欲望を語り、叫び、闘っていく。
それは、現代文明に対する怒りや嘆きにもとれるし、ただ、わめいているだけのようにも見える。ストーリー性を排除した、アングラ演劇のような台詞回しと、ブラジルの自然や現代建造物をコラボさせた摩訶不思議な映画である。

演者の叫びが延々と続くので、飽きてきても息抜きすらできない。
途中で「耳をふさいで映像だけ見てみようかなあ」なんて思ったり…。
でも、それではこの映画を見にきた意味がないので、我慢我慢…。
昨今のブラジル映画を追いかけて、日本の皆様にお伝えしていく、という勝手な使命感も若干あるので、この奇天烈な世界を理解しなきゃ、とは思うのだが、“理解しよう”とすること事態が陳腐なことのように思えてくる。
あまりにも肩がこるので、途中、溜息をつきながら「私は凡人だから理解するのは無理無理」と非力を認めたら、少しだけ楽になった。

古臭いレスラーみたいな風貌のマウリシオ・ド・バッレがあまりにも強烈で、出てくるたびに笑ってしまったのが、なんだか声を出して笑ってはいけない雰囲気…。
でも、バッレが素の顔で、「こんな映画でいいの?」と監督に語りかけるシーンでは、クスクスと笑い声も漏れてきて、ほっとした。
何を言いたいのか、頭で考えてばかりいると疲れるので、時々、頭空っぽにして、無の状態でみると、新しい発見があるかもしれません。

余談ですが、同じ台詞をはっきり何度もくどいほど言うので、ポルトガル語のリスニングの勉強にもなりますよ。
この映画は、ローシャ監督の最後の作品で、1980年制作となっているが、その世界観は80年代にあらず。パゾリーニや、ゴダールや初期のヘルツォーク作品に近い感じ。

震災後、便利で豊かな暮らしは永遠ではない、と、みんなが実感している今だからこそ、この映画を見て“何か”を感じる人も多いだろう。
観客を戸惑わせるスーパー・ハードな映画なので、1日1本の鑑賞をオススメします。

ローシャ特集は渋谷ユーロスペースでは、7月15日まで。
7月16日からは、横浜ジャック&ベティで開催されます。
公式サイトはこちら

大地の時代 A IDADE DA TERRA (80年)
グラウベル・ローシャ監督、マウリシオ・ド・バッレ出演
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Posted on 2011/06/25 Sat. 09:28 [edit]

category: ブラジル映画

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「TROPA DE ELITE」続編は、硬派な社会派映画で見応えあり!  

☆☆震災直後にブラジルから届いた「TROPA DE ELITE」の続編ブルーレイ。
しばらくパッケージを開ける気にならず、放っておいたのですが、3カ月過ぎた週末、やっと心が動き、じっくりと鑑賞することができました。
映画はやっぱり、気持ちが動いたときに見るに限りますね。
いい意味で期待を裏切る、硬派な社会派ドラマに仕上がっていました。

☆特殊部隊BOPE結成から10年が過ぎた頃、隊長のナシメントは軍服を脱ぎ、背広族となっていたが、今でも警官を続けている。
妻は新しい夫で人権問題活動家のフラガと暮らし、息子ハファエルも彼になついている。
ある日、監獄内で暴動が発生。フラガは囚人の説得のため、監獄へ出向き人質に取られてしまう。
極秘で出動していたBOPEのアンドレは、一瞬、説得に応じたように見えた囚人を一発で射殺する。
フラガはBOPEのやり方を激しく糾弾し、アンドレに処分が下る。
それから数年後のリオ。警察とギャング、そして権力者たちの不正は続き、相変わらず武器やドラッグの裏取引が行われていた…。

2007年、ブラジル国内で大ヒットし、ベルリン国際映画祭でグランプリを受賞したパート1の第2弾。エリート学生の間でまん延するドラッグ汚染と、ギャングのつながりにメスをいれた1作目とは様変わりし、今回はBOPEの元隊長が悪徳警官&政治家と対決する。
スピーディーな展開と派手なパフォーマンスが話題だった1と比べて、2はシリアスな政治サスペンスに仕上がっている。
相変わらず、台詞が多くて辛辣なので、詳細は理解できなかったのだが、複雑でドロドロした人間関係にナシメントの家族が絡んできたり、パート1の主演だったアンドレが、非業の死を遂げるなど、見どころは満載だ。
シリアスな政治の舞台裏にエンタメ性が盛り込まれ、見ていて飽きがこなかった。
さすがパジーリャ監督!実力は本物だと確信した。

ファベーラのギャングの実態や、汚職警官・悪徳政治家など、日本では現実味がないのだが、ブラジルではリアルな社会問題の一つ。
ブラジルの友人は、「ブラジル=犯罪、と思われてしまうのは恥ずかしいし悲しい」と、嘆いていたが、その現実は見過ごすことはできない。

かなり辛辣で、希望が見えない展開なので、おそらくブラジルでは1作目ほどヒットはしなかっただろうが、社会派映画好きには超オススメ。何度でも見直したい一本だ。

ブラジル・ポップス界の大スター、セウ・ジョルジがあっという間に殺されてしまう、暴動を起こした囚人役で出ているのも見もの。犬死する囚人役を引き受けたセウにも脱帽です。


TROPA DE ELITE2 -O Inimigo Agora E Outro
ジョゼ・パジーリャ監督、ヴァグネル・マウラ、イランディー・サントス、アンドレ・ハミロ、セウ・ジョルジ出演
  公式サイト

「TROPA DE ELITE1」のレビューはこちら

Posted on 2011/06/14 Tue. 00:01 [edit]

category: ブラジル映画

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ボリビア映画「パチャママの贈りもの」、横浜で特別上映します!  

ボリビアに魅せられた日本人の松下監督が、6年の歳月をかけて作り上げた感動作「パチャママの贈りもの」が、6月18日に根岸線・本郷台駅そばの「あーすプラザ」で上映されます。

日時 2011年6月18日(土)①10:30 ②13:30 (各回 開場30分前)
場所 あーすプラザ プラザホール(2階)
900円(一般・シニア・学生)、300円(高中小)

広大なウユニ塩湖を舞台にした家族愛を描いています。
子供たちの生き生きとした表情がMuy Bien!
ボリビアならではの自然と、素朴な人々の姿を堪能できる一作です。
詳細はこちら

Posted on 2011/06/13 Mon. 00:01 [edit]

category: ラテン映画

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ペルーのノーベル賞作家マリオ・ヴァルガス・リョサが来週来日!  

ぺルーのノーベル賞作家マリオ・ヴァルガス・リョサが来日し、セルバンテスと東京大学で講演会を行います。
セルバンテスの講座は有料でお高かったので諦めたのですが、講演会中継だけなら無料でした…すでに予約締め切ってます…。
2歩も3歩も遅れてしまい悔し~。
WEBで中継してくれないかなあ…。

参加される方のご報告をお待ちしております。

予約締め切ってますが、一応お知らせ。

6月21日(木)18時~ セルバンテス(麹町)
6月22日(水)14時~15時半 東京大学(本郷)

Posted on 2011/06/12 Sun. 11:40 [edit]

category: ブラジル・南米の話題

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ガエル主演の掘り出しモノ映画、「マンモス」レビュー  

☆ガエル・ガルシア・ベルナルとミシェル・ウィリアムズ、という若き実力派が主演。DVDパッケージだけ見ると、若き成金クリエーターの波乱人生を描いたサクセスストーリー風ですが、内容は、真摯な人間ドラマです。

☆ゲームのソフト製作で富を築いた若きクリエイターは、家族を残し、契約のためタイへ。
一方、外科医として忙しく働く妻は心身ともに疲れ果てている。
幼い一人娘は、フィリピン人のシッターになつき、母との時間よりも、タガログ語の勉強に夢中である。
その頃、フィリピンではシッターの二人の息子が母を恋しがっていた…。

仕事に忙殺されながら都会で暮らす男女、孤独に耐えるその子供、その子供の世話をしながらも実の子供と暮らせない寂しさを抱えるベビーシッター。そして、フィリピンで母を思う子供たち…。
経済的には恵まれていて、やさしさも持ち合わせている人々なのだが、それぞれが生きるための生業に忙殺され、家族との関わりが希薄になっている。子供を養うために働いているのに、その子供たちはさびしい思いで押しつぶされそうになっているのだ。
みんな懸命に生きているのに、歯車がかみ合わず、すれ違いばかり…。
四者四様の孤独感が丁寧に描かれていて、彼らの寂しさや苦悩がひしひしと伝わってきた。
若いインテリ夫婦を演じたガエルとミシェルは、家族を愛しているのに、うまく伝えられないことにもがいている男女を好演。
イニャリトゥ監督の「21グラム」にも通じる良質な心理ドラマに仕上がっていた。
派手さはないが、現代社会の家族の問題に真摯に切り込んだ秀作です。

マンモス 世界最大のSNSを創った男 MAMMOTH
ルーカス・ムーディソン監督、ガエル・ガルシア・ベルナル、ミシェル・ウィリアムズ出演

Posted on 2011/06/11 Sat. 17:40 [edit]

category: 映画レビュー

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