CINEMA草紙

ブラジル、アルゼンチン、メキシコ、キューバ等々、中南米カリブのラテン映画・音楽・カルチャーを紹介するニッチなブログです!

バッド・ルーテナント  

ヘルツォーク監督の新作「バッド・ルーテナント」が地味に公開された初日、恵比寿に一人で見に行ってみました。
土曜というのに空席は目立ち気味。予想はしていたのですが、巨匠の作品はあまり人気がないようです。
「ぴあ」の調査員からは「女性の方が一人でこの映画を見にいらっしゃるのは珍しいので、ぜひ誌面で…」と声をかけられたのですが、「写真は自信ないので^^;」と丁重にお断りしました。
もはや私は、絶滅危惧種??自覚はありますが、um pouco サビシイ…。

☆舞台はハリケーン直撃後のニューオーリンズ。水につかった刑務所で逃げ遅れた囚人に、汚い言葉を浴びせる二人の刑事テレンスとフランキーは、見るからに悪徳刑事である。だが、テレンスは突然、スーツを脱ぎ捨て、囚人を助け出す。
このことがきっかけで警部補(ルーテナント)に昇格するが、テレンスは改心したわけではない。セネガルからの不法移民家族惨殺事件の捜査の最中も、ドラッグをギャングからせしめ、愛人と一緒にラリっている始末。まもなく事件の主犯と見られる男に行きつくが、テレンスは、ドラッグ欲しさに主犯の男に協力し始める。

「テレンスは善人か、それとも悪人か?」そう問われたら明らかに彼は悪人だ、と答えたい。悪党を上回る罪悪感の欠如、世の中を小バカにした振る舞い等々、かなりたちが悪い。刑務所に数年ぶち込まれたぐらいでは公正させるのは無理なほど根が深い。でも、その悪っぷりが逆に大きな魅力でもある。

映画は、いきなり洪水の泥水の中をヘビが泳ぐシーンで始まる。
これがいったい何を意味するのか分からなかったが、見終わってしばらくたってから「あの蛇はテレンスの分身だったのだ」と思い返す。
そんな蛇のような男テレンスを演じたニコラス・ケイジは、ものの見事にぴったりとはまっていた。
もともと爬虫類系の顔してるし、「ワイルド・アット・ハート」では蛇柄のジャケット着ていたし、「リービング・ラスベガス」ではアル中を熱演していたし…。これは適役だな、と、見る前から想像はしていたが、期待通り、さすが!の演技で大満足である。
幻覚で登場するイグアナやワニ。その爬虫類の肌感がリアルに画面から伝わってきて鳥肌が立った。
正直、ヘルツォーク作品の割にはノーマルな作品で、衝撃度には欠けたが、ニコラス久々の怪演と、ジメジメとしたニューオリンズの雰囲気&幻覚ワールドを楽しめたのでマル。ニコラスにはこれをきっかけに演技派に戻ってほしいけど…。借金地獄に陥ってるらしいから、作品選んでる場合じゃありませんね^^;

バッド・ルーテナント THE BAD LIEUTENANT: PORT OF CALL NEW ORLEANS
ヴェルナー・ヘルツォーク監督、ニコラス・ケイジ、エヴァ・メンデス、ヴァル・キルマー出演
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Posted on 2010/03/22 Mon. 19:28 [edit]

category: 映画レビュー

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オススメのチリ映画  

チリの大地震のニュースは少なからずショックでした。
昨年の2月、パタゴニアへの旅の経由で立ち寄っただけでしたが、チリの首都サンチアゴは想像以上に活気があり、これぞラテン! といったゾクゾク感も味わえました。
アジア人慣れしていないせいか、ジロジロ見られたりもしましたが、スペイン語もどきで話しかけると、意外に親切で、おせっかいオバちゃんにも遭遇したり…。
今回の惨事は大変悲しい出来事ですが、ラテン気質のバイタリティで乗り切ってくれることでしょう。

6月のサッカーWカップでは、チリ代表の躍進を期待したいです!
(ヴィルディビアも出場するはず!!)

チリという国を知る上で参考になる映画では、当ブログで何度も取り上げてきた「マチュカ」がNo.1ですが、コスタ・ガブラス監督の名作「ミッシング」、その娘が監督したフランス映画「ぜんぶ、フィデルのせい」でも、チリの歴史の一部を知ることができます。
また、イタリア映画「イル・ポスティーノ」の詩人パブロ・ネルーダは、チリの英雄として人々から愛され続けています。

Posted on 2010/03/21 Sun. 19:11 [edit]

category: ラテン映画

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ルドandクルシ  

メキシコではグアダラハラ映画祭が終了。大賞はコロンビア映画「Retratos en un mar de mentiras」が受賞した模様です。
昨年は、クストリッツア監督が特別賞を受賞するなど、いろいろと話題の多い映画祭ですが、日本にいながら陽気なラテン気分を味わいたい人にオススメなのが、メキシコ発お気楽コメディ映画「ルドandクルシ」。

☆バナナ園で働く兄ベトはギャンブル好きで妻から叱られてばかりのダメ男。弟タトは、ちょっと頭が弱いけど歌手になりたい夢を持つ陽気なラテン野郎。二人の兄弟が所属する草サッカーチームでは、キーパーとストライカーとして活躍していた。
ある日、兄弟が偶然知り合った男パトゥータは、二人のうち一人をサッカー選手としてスカウトする、と言いだした。対抗意識を燃やす二人だったが、結局、弟タト一人が、引き抜かれることに。
サッカーにさほど意欲のないタトだったが、パトゥータの裏工作や強運が重なり、あれよあれよという間に名門チームのストライカーとなり、派手な彼女と豪華な家を手に入れる。
一方、田舎に取り残され、ふてくされていた兄ベトも、ひょんなことから、ライバルチームのキーパーに抜擢される。

典型的な田舎者兄弟の栄光と転落の人生を、ひたすら軽ーく明るく描いたラテン系コメディ。
ギャンブル好きで嫉妬深い兄をディエゴ、頭の弱いお気楽な弟タトをガエルが軽妙に演じている。メキシコ映画界の2トップの二人が、ここまで肩の力を抜いた緩い演技をするのは初めてみたが、さすがは役者、二人ともサマになっていた。とくにディエゴは今まで見たことないほど、魅力ゼロのだらしない男役でびっくり。美しいディエゴのファンが見たら、ちょっとショック受けるかも…。
典型的なアメリカン・ドリームならぬメキシカン・ドリームをつかんだ二人だが、海千山千の大人たちに食い物にされ、浮かれるままに誘惑に負け、挙句の果てに八百長試合まで請け負ってしまう。
コッテコテのコメディ映画ではあるのだが、中南米のサッカー界では、この手の話がゴロゴロしていそうだし、取り巻きに食い物にされ、つぶれていく選手も大勢いるのだろう。
デブデブ太ったロナウドやロナウジーニョ、酒びたりだったアドリアーノも、ブルー・カラー育ちだし、映画の二人と似たり寄ったりの人生を送ってきたのかもしれない。
ルドとタトは結局、ロナウドやロナウジーニョにはなれず、もとの生活に戻っていくのだが、金と女と名声をなくしても、バナナがあれば楽しい我が家~♪、といったメキシコならではの陽気なエンディングが気に入った。

キュアロン、イニャリトゥ、デルトロが作ったプロダクションの一作目ということで、もっと気負った映画になるかと思ったら…。若干、肩すかし食らった感はあるが、まずはコメディから、という緩さもメキシコらしい?!

ルド and クルシ RUDO Y CURSI (メキシコ)
カルロス・キュアロン監督、ガエル・ガルシア・ベルナル、ディエゴ・ルナ、ギレルモ・フランチェラ出演

Posted on 2010/03/20 Sat. 18:55 [edit]

category: ラテン映画

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2010アカデミー、外国語映画賞はアルゼンチン!  

ただ今、続々結果が発表されている2010年アカデミー賞、
外国語映画部門は、カンヌ・パルムドールの「ホワイト・リボン」を抑えて、アルゼンチン映画「瞳の奥の秘密」が受賞!!
見応えのあるサスペンス映画ではありましたが、まさか受賞するとは…。
昨年の「おくりびと」に続いて予想外の結果にびっくりです。
南米映画、追い風吹いてますね~。
「瞳の奥の秘密」のレビューはこちら


主演男優賞はジェフ・ブリッジス、助演男優賞はクリストフ・バルツ。
どちらも予想通りでこれまたウレシイ!!

Posted on 2010/03/08 Mon. 14:02 [edit]

category: 映画賞・映画祭

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2009年Myベスト映画は…!  

遅ればせながら、2009年、日本で公開された映画のMy Best シネマを発表します。

そのスケールの大きさに圧倒されたのは「レッド・クリフ2」。
キングofポップ、マイケル・ジャクソンの唯一無二のカリスマ性と、彼のあふれる才能に心を揺さぶられた「THIS IS IT」。
悪夢にうなされているようなハラハラ感を味わえた韓国発サスペンス「チェイサー」等など、今年もたくさんのMaravilhoso!な作品と出会うことができましたが、
時間がたっても忘れられない強い印象を残した作品はファティ・アキン監督の「そして、私たちは愛に帰る」。
巧みなストーリー展開と、人々の心の変遷を丁寧に描いた秀作です。

BEST1「そして、私たちは愛に帰る」
BEST2「レッド・クリフ2」「THIS IS IT」
BEST3「セントアンナの奇跡」


そのほか、DVDで見て、Value a pena !(価値あり!)だった作品は以下です。
「チェイサー」「ヒットマンズ・レクイエム」「レイチェルの結婚」「エグザイル」
レビューはこちらから


2009年は、お気に入り監督、テリー・ギリアム、エミール・クストリッツア、ペドロ・アルモドバル、キム・ギドクの新作も公開されたのですが、期待が大きすぎたせいなのか、作風に慣れてしまったせいなのか、残念ながら、ベスト3圏外となりました。(Dr.パルナサス、ウエディング・ベルを鳴らせ、マラドーナ、抱擁のかけら、悲夢)

今年は、新しい才能に期待!
今までノーマークだったマイナー国の作品にも目を向けたいと思っています。

Posted on 2010/03/01 Mon. 11:24 [edit]

category: 映画レビュー

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