CINEMA草紙

ブラジル、アルゼンチン、メキシコ、キューバ等々、中南米カリブのラテン映画・音楽・カルチャーを紹介するニッチなブログです!

スペイン映画「ストーリーズ」 (in 東京国際映画祭)  

☆主婦のロサリオは、心理セラピストに、夜になると恐怖心に襲われて眠れないと相談する。セラピストからの助言をヒントに、短編小説を書きはじめたロサリオは、かつて死産した時の感情を思い出す。
 トラウマを持った女性の自分探し物語、ということで、重くて暗い映画を想像し、まったく興味がわかなかったのだが、試しに見たら大当たり!
ロサリオは、自分に自身がもてない主婦で心の悩みを抱えてはいるのだが、その風貌は飄々としていて、とても温かみのある女性。主演女優のふくよかな体型、緩慢な動きは、時にコミカルで笑いを誘う。日本の女優で言えば市原悦子タイプなのだ。
そうかといって軽くはならない。彼女の描く短編小説をモノクロ映像で描くことにより、アンニュイな雰囲気も漂わせる。
 ロサリオ自身の物語から、彼女の書く短編小説へのスイッチングも絶妙のタイミングで、観客も素直にストーリーの流れに乗っていける。ロサリオのモヤモヤ感は彼女の描く短編小説にも投影され、最初の頃の物語は、少々インパクトに欠ける。
 それを小説を持ち込んだ出版社の編集者にはっきりと指摘されるのもリアルである。
言われたときは「そうよね。当たり前よね」なーんて、相変わらず飄々としているのだが、後になってジワジワ悔しさがわいてくる。そして、車の試乗をしている最中に、営業マンの横で突然泣き出してしまうのである。
 もっと感動的なシーンで泣けば、観客の涙を誘うのかもしれないが、そういうウソ臭いことはしない。人間の感情なんて、そう簡単にコントロールできないものだ。だから、間の悪い場所で泣いたり怒ったりしてしまい、あとで激しく後悔したりするのである。
私はこのあたりから完全にロサリオに感情移入し「そうそう。そうなのよー。わかるわー」と、うなづきオバサン状態に。
 ロサリオが自分のトラウマにやっと気づき(ちょっと遅すぎ。そのあたりもドン臭くて面白い)、さらに偶然ある男の財布を拾ったことをきっかけに名作を生み出す、というハッピーエンドにも、素直に拍手を送ることができた。
 監督&主演女優は長年舞台を一緒にやってきた仲間とのこと。「なるほどー。よくこなれた舞台劇だわ」と納得。日本で上演しても受けそうな上質なストーリーズでした。

ストーリーズ Relatos
マリオ・イグレシアス監督、コンセプシオン・ゴンサレス、ルイス・カジェホ、ジャゴ・プレサ出演
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Posted on 2009/10/31 Sat. 11:45 [edit]

category: 映画賞・映画祭

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東京国際映画祭閉幕  

東京国際映画祭もあっという間に終了。
久々の参加でしたが、今回はスペイン語映画が多かったのはラッキーでした。

コンペ作品「ストーリーズ」を見て、久しぶりに胸が熱くなったり(残念ながら無冠でしたが)、
メキシコの奇才カルロス・レイガダス監督が、作品の奇妙奇天烈さからは想像できないほど、素敵な殿方だったり…。
国際映画祭ならではの楽しみを満喫することができました。

なかでも興味深かったのは、「バトル・イン・ヘブン」「ハポン」の撮影監督だったヴィニャッティのトーク。
ヴィニャッティ監督はワールド・シネマ部門に「タンゴ・シンガー」という作品で参加し、妻兼主演女優を伴って来日。タンゴ歌手の再生物語を、絵画のような美しさでしっとり描いた素敵な映画でした。

映画上映後のQ&Aのとき
「僕の映画では、セックスやバイオレンスは描きたくない」と、きっぱり。
観客には「僕らの写真が撮りたい人は外でも撮影会やりますよ」というほど、サービス精神旺盛な方でした。

その後でレイガダス監督の「バトル・イン・ヘブン」を見たのですが、こちらは、セックスとバイオレンスだらけ。
さきほどの話は「自分が監督するとき限定」だったのですね^^;。
レイガダスの「バトル・イン・ヘブン」「ハポン」と、「タンゴ・シンガー」。
作風や方向性はまったく違いますが、やわらかい光を利用した幻想的な映像が魅力的でした。
超個性的なレイガダス監督作品には圧倒されましたが、個人的にはヴィニャッティ監督の作り出す映像に、強く惹かれるものあり。
今後の作品も、追いかけていこうと思います。
映画祭でみた映画のレビューは後日、UPいたします^^。

Posted on 2009/10/28 Wed. 12:30 [edit]

category: 映画賞・映画祭

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ボリビア映画in 東京国際映画祭  

週末からスタートした東京国際映画祭。5年以上遠ざかっていたせいか、六本木ヒルズで行われたこの映画の祭典がとても新鮮で、また、日本語字幕付きで各国のコアな映画を見られることが無性に嬉しく感じる。
まず最初に見たのは、コンペ部門に出品されているボリビア映画「ボリビア南方の地区にて」。
馴染みのないボリビアという国の“今”を切り取った味わい深い作品に仕上がっていた。

☆ラパスの南方地区にある豪邸では、母と3人の子供、そして長年一緒に暮らしている使用人ウィルソンがいる。彼らの生活は、一見、何の不自由もなさそうで、最新の家電や洋服、海外の化粧品などに囲まれ、子供たちは酒とセックスに興じる日々を送っていた。
 だが、実際には、食糧を買うのも付け。使用人には半年以上、給料を払えないぐらい生活は困窮している。それを知っているのは母とウィルソンだけ。ギャンブルで散在した息子を母が厳しく叱っても、子供たちには実情をまったく理解できない。その母親すら、金を工面するための手段を持ち合わせず、人に頼るという発想しかない。
 一方、幼い次男だけは、家族の姿を俯瞰し、いつも屋根に登って天使と会話をしていた。
 間もなく、豪邸を訪れた先住民族の女性が、家を買い取りたい、と申しでる。

 ボリビアと聞くと、髪を長く編みこみ、民族衣装をまとったアンデスの女性とコンドルぐらいしか思い浮かばないかもしれないが、もちろん、実際のボリビア社会はそれだけではない。長い間、支配階級であった白人たちが贅沢な生活をする一方で、先住民族が過酷な労働に耐えていたのである。
 今、ボリビア社会は、先住民族の大統領が生まれ、下克上の世の中に変わっているというニュースはブラジルにも度々流れてきていた。裕福だった日系人も、不当に土地を奪われているという。

 富のある者ばかりが私腹を肥やす社会は、いつかは、持たざるものの不満を生み、彼らが大きな力を生んで革命が起こる。これは社会の自然な流れではあるが、その変革期に居合わせた人々の戸惑いは計り知れない。
放蕩三昧の暮らしをしている映画の中の支配階級は、自分たちの未来にまったく危機感がない。
見ていて腹が立つぐらいだが、長い間それが当たり前であった彼らにとって、「危機感」という感覚が存在しないのかもしれない。
 豪邸の中の能天気な白人社会の中で唯一、ボリビア社会の流れを感じられるのが、使用人の言動である。
給料をもらえず不満が募ったウィルソンは、奥様のバスルームを内緒で使い、化粧品まで拝借している。また家政婦は、雇い主に向かって「掃除できないから、そこどいて」と、言ってのける。
もう昔とは違う。自分たちだって権利を主張することができるんだ、といった社会の流れが、彼らを強くしているのだ。
 そして、極めつけは成金の先住民族。彼女は、バッグに大量の原ナマを詰め、金に困った白人女の目の前に、これ見よがしにつきつける。
 なんとも品がないワン・シーンなのだが、ここにボリビアの今が凝縮されている。
社会の流れには逆らえない。支配階級の連中は、ムカつく奴らではあるのだが、今まであたりまえだった生活を失わざるを得ない彼らに、わずかながら同情してしまった。
支配階級の一個人が悪いわけではなく、彼らの暮らしを守ってきた社会に問題があったのだから…。

 まだまだ混沌としているボリビア。いつか訪れて、どう変わっているのかをこの目で確かめてみたい。

ボリビア南方の地区にて Zona Sur (09年・ボリビア)
フアン・カルロス・ヴァルディヴィア監督、ニノン・デル・カスティーヨ出演

Posted on 2009/10/19 Mon. 15:18 [edit]

category: 映画賞・映画祭

thread: 東京国際映画祭 - janre: 映画

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あまりに劇的な  

サッカー日本代表が余裕の親善試合に興じている一方、地球の裏側南米では、アルゼンチン代表が、“勝てば天国負ければ地獄”、の本気の最終戦。
しかも、会場は何十年も勝ったことがないという敵地ウルグアイ。
祈るような思いで1日を過ごしておりましたが、なんとかWカップ出場を決めてくれました!
勝つのも負けるのもド派手なマラドーナですが、さすが天才プレーヤー。
監督になっても、土壇場での勝負勘はあるのかも?!
周りは冷や冷やですけどね~。
あの瞬間、あの場所にいたかった…。

これで、12月に公開されるドキュメンタリー映画「マラドーナ」も盛り上がってくれるでしょう。

アルゼンチン・イレブン&マラドーナ監督、ほんとのほんとにお疲れさまでした。

Posted on 2009/10/16 Fri. 12:52 [edit]

category: ブラジル・南米の話題

thread: サッカー - janre: スポーツ

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冷や冷やのWカップ南米予選  

勝たなければThe Endだったアルゼンチン。
最下位ぺルー相手のホーム・ゲームなのに、さすがに硬くなっていたようで、ダイジェスト見ただけでも、悲鳴の連続でありました。
ロスタイム、豪雨の中での悲劇の同点ゴールから奇跡の逆転まで、これは夢か真か…。
楽勝だったベネズエラ戦、あれは何だったの?

泣いても笑っても14日ですべてが決まります。
敵地でのウルグアイ戦、勝った方がワールドカップ出場権を勝ち取る、という厳しい状況ではありますが、もはや祈るしかありません…。

一方、チリは久々のワールドカップ出場に沸いているようです。
大活躍したのは、2008年のブラジル・リーグでMVPをとったバルディビア(元パウメイラス)。大のお気に入りだったので、チリ出場もうれし~い!!
本戦では、ぜひ、日本と一戦交えてほしいものです。

Posted on 2009/10/13 Tue. 09:49 [edit]

category: スポーツ

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