CINEMA草紙

ブラジル、アルゼンチン、メキシコ、キューバ等々、中南米カリブのラテン映画・音楽・カルチャーを紹介するニッチなブログです!

パレスチナ映画「レモン・ツリー」日本公開切望!  

☆☆終わりの見えない争いが続いているイスラエルとパレスチナだが、戦場となっている町には地道に暮らす人々の生活がある。
映画「レモン・ツリー」は、パレスチナで小さなレモン果樹園を営む女性の静かな戦いを真摯に描いた秀作だ。
サンパウロでは半年近くロングラン中。平日でも席はほとんど埋まっていて、ブラジル人のパレスチナ問題への関心の高さに驚かされた。
ここでは、アラブ料理が人気だし、中東からの移民も大勢暮らしている。日本よりも中東が身近に感じられる町なのだ。

☆パレスチナ自治区に住むサルマは、父から受け継いだレモン果樹園を大事に守ってきた。だが、果樹園の隣にイスラエル政府の要人一家が引っ越してきたことで事態は一変。果樹園はイスラエルとパレスチナの境界線となり、フェンスが建てられてしまう。
サルマは弁護士に相談し、イスラエル政府に対して裁判をはじめる。
まもなくサルマの行動は、マスコミからも注目を浴び始めるが…。
(以下、ネタバレあり)
イスラエルとパレスチナ。日本からもブラジルからも遠い中東で続いているいがみ合いは終わりが見えず、2009年、年明け早々から、激しい爆撃戦のニュースが各国を駆け巡った。
この映画は、そんな地域で起こった一人の女の戦いのドラマである。
戦い、とはいっても、無残な殺し合いや、暴力シーンはほとんど出てこない。
中年女サルマは、武器を持って応戦もしないし、危険な目にあうこともない。突然の軍隊の家探し、脅し、そして、苛立ったサルマが隣人宅にレモンを投げこむ程度である。

だが、心理的にサルマは戦い続ける。ときには、一人、台所で涙を流しながら、レモンの木を守るために。
最初は不安げで、アメリカに住む息子に助けを求めたりするのだが、自分の意志で立ち上がり、弁護士とともに法廷に立つことを決意するサルマ。
戦い始めた彼女の表情が、徐々に凛として、美しくなっていくのが印象的だ。

一方、みるからにブルジョワ階級のイスラエル要人の妻は、フェンスの向こうのレモン果樹園を毎日眺め、サルマの黙々と働く姿をみているうちに、彼女に興味を持ち始める。
二人の交流が始まり、友情が生まれれば万々歳なのであるが、イスラエルとパレスチナの関係のように、そう簡単には行かない。
すぐ目と鼻の先に暮らす同年代の女性でありながら、言葉を交わすことも、握手することもできない。要人の妻は、1度はサルマに近づこうとするのだが、それもボディーガードによって阻まれてしまうのだ。

戦闘シーンや爆撃の犠牲になった一般市民の痛々しい姿は、毎日のようにニュースで目にしている。戦場と化したパレスチナは、はたから見ると、人間が安全に暮らせる場所とは思えないし、多くの人がニュース映像を見て「ひどい」「気の毒」「かわいそう」、などと同情しているだろう。
だが、実際にそこで暮らすサルマのような人々には、そんな同情心は役にはたたない。
自分たちの生活を維持するために、働かなければならないし、タフにならなければ生き抜けない、という状況にあるのだ。
サルマの孤独な戦いが、マスコミに取り上げられ、アメリカで暮らす息子が、TVで母の姿を見て驚くシーンがあるのだが、息子でさえも、パレスチナで起こっていることが他人事のように感じてしまう。それほど、パレスチナの現状が特殊であるということだろう。

エンデイング。裁判が終わり、結局、レモン果樹園はつぶされてしまうのだが、サルマは逃げたり絶望したりしない。それでもパレスチナで生きる道を選んだ彼女に、ささやかな希望を感じ、潔い彼女の姿に爽快感さえ覚えた。
サルマを演じた名女優ヒアム・アッバスの凛とした美しさは圧巻。「にっぽん昆虫記」の左幸子や、「グロリア」のジーナ・ロランズに通じるかっこよさだ。

最後にもう一言;サルマを助ける若い弁護士を演じたのは、「パラダイス・ナウ」で、軽い気持ちで自爆攻撃に参加してしまうハーレドを演じたアリ・スリマン。
この映画でも熱血青年弁護士を好演しています。

Lemon Tree/ Etz Limon
エラン・リクリス監督、ヒアム・アッバス、アリ・スリマン出演
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Posted on 2009/01/26 Mon. 22:20 [edit]

category: 映画レビュー

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アカデミー賞09、メリッサ・レオが主演女優にノミネート!  

今年のアカデミー賞ノミネートが発表になりました。
注目はガス・ヴァン・サント監督、ショーン・ペン主演の「ミルク」(たぶん受賞はないけど)。
そして故ヒース・レジャーが最初で最後の助演男優賞受賞なるか。

ウディ・アレンの「それでも恋するバルセロナ」が、助演女優賞ノミネートのみ、というのが予想外。
&サンパウロ映画祭で見たサンダンス映画祭大賞作「フローズン・リバー」のメリッサ・レオが主演女優賞にノミネートされたのには歓喜!
カナダとアメリカの国境地帯の不法入国を扱った地味な作品ですが、主演女優メリッサの演技はマラビリョオーゾ!でした。
解説&ワンポイントレビューはこちら

「ダークナイト」と「フローズン・リバー」以外はどれも未見ですが、またまた、勝手に予想させていただきます。
主要部門のノミネート結果&予想はこちら

発表は2009年2月22日です。

Posted on 2009/01/23 Fri. 08:27 [edit]

category: 映画賞・映画祭

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クストリッツア監督新作情報!  

こちらも待たせすぎーのエミール・クストリッツア監督の新作「Promise Me This」が、やっと今年、日本で公開されます(邦題「ウエディングベルを鳴らせ」渋谷シネマライズ他)。
promis.jpg

現アルゼンチン代表監督マラドーナのドキュメンタリー「マラドーナ」も、すでに各国の映画祭でお披露目され、今は、メキシコの革命家パンチョ・ビリャ Pancho Villaの物語「MEXICO」を企画中。
革命家パンチョは、何度か映画になっていますが、クストリッツア風に料理されると、どんな味になるのでしょうか。主演はなんと、ハビエル・バルデム!

聞いただけで、ヨダレがでてきます。
最近のクストリッツア監督は、すっかりラテン・アメリカ付いてるようでうれしいわ~音符

Posted on 2009/01/21 Wed. 00:00 [edit]

category: 映画情報

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札幌でキューバ映画祭  

今年はキューバ革命50周年。フィデル・カストロの病状も気になるところではありますが、
札幌では、1月31日から2月6日まで、キューバ映画祭が開催されます。


日本で公開が始まったデルトロ主演の「CHE」でも、キューバの風を感じられますよ!

ブラジルでも、毎週のようにキューバのニュースが流れ、CHEのイラスト&写真が表紙を飾った雑誌があちこちで売られています。
CHEは、キューバやアルゼンチンだけでなく南米のヒーロー、といえるでしょう。
日本でもCHEブームが起こること、期待しております!

Posted on 2009/01/20 Tue. 00:00 [edit]

category: 映画賞・映画祭

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GGベルナル&Dルナの新作「Rudo y Cursi」  

待ちに待った(待たせすぎ)のガエル・ガルシア・ベルナル&ディエゴ・ルナ、メキシコの2大トップ・スター主演の映画「Rudo y Cursi」(カルロス・キュアロン監督)が、メキシコ&アルゼンチンで公開されました。
ベルナルとルナが田舎で暮らす兄弟という設定で、それぞれサッカー選手と歌手を目指しているコメディ映画ということですが…。

プロデュースには、イニャリトゥ監督、A・キュアロン監督も名を連ねています。
メキシコ映画界の出世頭を集めすぎの感もありますが、南米の話題作であることは間違いナシ!
ブラジルでは3月20日に公開予定。
日本では…、今年のラテンアメリカ映画祭あたりで見られるかも?!

Posted on 2009/01/19 Mon. 22:30 [edit]

category: ラテン映画

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